マッドマックス・フュリオサ

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怒りのデスロードの前日譚

マッドマックス・フュリオサを見たか。

2015年に公開された映画「MADMAX 怒りのデス・ロード」の前日譚であるこの映画は、

前作で主人公を圧倒するほどの存在感をみせたキャラクターの過去の物語である。

前作公開から既に9年も経過しているというから驚きだ。

極端に主人公のセリフが少ない映画

監督であるジョージ・ミラーは主人公にセリフを配さない。

まるで、ポリシーであるかのように前作から徹底されている演出だ。

前作でマックスたるトム・ハーディは、セリフの代わりに全てをアクションで表現をした。

今作では、フュリオサ演じるアニャ・テイラー・ジョイは、全てを目で演技をした。

そしてそれは奏功したといえる。

私もシャーリーズ・セロンが演じたフュリオサに、アニャが配役されたと聞いた時に

驚いた一人だ。

アニャはかわいらしい顔をしたファニーフェイスで、今もっとも旬な俳優ではあるが、

果たして前作でシャーリーズが強く印象づけたフュリオサのクールさと力強さを引き継ぐことができるのだろうかと。

アニャ・テイラー・ジョイが演じた新しいフュリオサ

しかし、その心配は全くの杞憂であったと今となれば思う。

アニャは、前作のフュリオサをなぞる気は全くなかったのだ。

監督もおそらくアニャにフュリオサを配役した時点で、前作のイメージを覆すことを期待していたと

映画を観ながら確信した。

そう、アニャは全てを目で演技をした。

そもそもフュリオサは素顔をみせないのだ。オイルを額に塗りたくり、顔を布で覆う。

そんな中で大きな白目が印象的に映る。目だけでここまで感情を伝える俳優がいただろうか。

鑑賞しながら驚きを隠しえなかった。

フュリオサの憎しみに満ちた冷たい眼を見るたびに、

私はフュリオサの悲惨な生涯を自分ごとのように捉え、感情移入をしてしまった。

複雑なヴィランたるディメンタス

フュリオサとは対照的に、クリス・ヘムズワース演じるヴィランたるディメンタスは、とにかくよく喋る。

しかし決して口先三寸の単純な小悪党ではないのだ。

ディメンタスは、一時期はイモータン・ジョーにも匹敵する勢力を持つバイカー集団を収める有能なボスでありつつも、

彼なりの非業な経験があり、それがゆえ、なかば厭世的に振る舞う。

内心は、この世などもうどうなっても構わないのだ。

彼は、フュリオサにある意味、この世界の悲惨さを教え、自らの娘のように扱おうともしたのだ。

屈折しているとはいえ、私は彼もひと時は一人のまともな子を持つ親であったのだと思う。

彼が、フュリオサの心に憎しみの炎を灯し続け、ウェイストランドにあっても生きる気力を与えたのは事実である。

この物語の行く末

この復讐劇は最後どんな結末に帰結するのか。

そして、この未来にあたる「マッド・マックス 怒りのデスロード」に繋がるのかぜひ見届けて欲しい。

私はこの2時間半にも及ぶ映画の体感時間は1時間にも満たなかった。

それほどまでに、この物語に感情移入をしてしまった。

ぜひまだ観たことのない人も映画館でこの物語の結末を見届けてもらいたい。

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